泣き虫王子と哀願少女
―― ……ピピピピピピ!
「……んっ」
バンッ!
けたたましく鳴り続ける目覚まし時計のベルを、布団から出たくなくて精一杯腕を伸ばして停止する。
「ふぁ~……。まだ眠い~……」
二度寝の誘惑を振り払い、重い体を引きずるようにして窓辺へと向かう。
大きなあくびをしながら寝ぼけ眼でカーテンを開けた瞬間、朝特有の爽やかな陽光がキラキラと部屋一面に降り注いだ。
「まぶしっ……!」
あまりの眩しさに思わずギュッと目を閉じる。
真っ暗になった瞼の裏に、不意に昨日の潤君の笑顔が浮かびあがった。