泣き虫王子と哀願少女
……そんなに有名人だったのか。
今更ながら、潤君の色んな意味での凄さを実感する。
……はっ!そんな有名人と噂になってるってことは、もしかしたら私相当他の女の子達から疎まれてる……!?
一抹の不安が胸をよぎる。
……で、でもこんな私を潤君が本気で相手にするなんて、きっと誰も思ってないよね!
最悪の事態を考えたくなくて、自分に言い聞かせるように無理やり納得した。
「今度会ったら絶対俺のこと紹介してくれよな!」
「紹介!?う……、じゃぁ、その時はあんまり変なこと言わないでよね……?」
「おうっ!もちろんだぜ!やりぃ!」―― ……
だけど、この時の私はまだ知らなかったんだ。
水道場での潤君とのやり取りを、陰から凍るような眼差しで見つめていた人がいたということを……――