泣き虫王子と哀願少女
「おはよー!」
「うぃーす」
まばゆい朝の陽光に照らされながら、登校中の生徒達が列をなすようにして学校へと歩を進めて行く。
いよいよ夏本番の様相を呈してきた青空は、吸い込まれそうな程澄み渡っていた。
「しっずくちゃん、おっはよーっ!」
ガバッ!
夏の匂いをしみじみと感じながら歩いていると、突然背後から勢いよく抱きつかれた。
「!?」
ビックリして振り返ろうとした私の顔を、期待に目を輝かせた明里が抱きついたまま横から覗き込んできた。