泣き虫王子と哀願少女
「やっぱり……昨日のことだよね……?」
「もっちろ~ん!」
ついに観念した私に、超ハイテンションな明里が大きく頷く。
「傷心の王子様とそれを優しく慰める可憐な少女!ん~!絵になるぅ~!」
明里という名の暴走列車が走り出す。
「難攻不落の泣き虫王子様もついに年貢の納め時か!? そ~よね~。弱ってる時に目の前に餌をぶらさげられれば、どんな奴でもついフラフラ~っとついていっちゃうわよね~!」
暴走列車は止まらない。
「まさかいくらなんでもあの状況で、思春期真っ盛りの健全な男女が二人っきりでいて何もないわけないわよね~? あ、もしかして私の想像以上だったりして!」