泣き虫王子と哀願少女
「―― ……というわけで、初めて私に笑いかけてくれたの」
頬を赤らめながらもじもじと昨日の様子を一通り語る。
そんな私を
「うんうん、それで?」
「……?それで?」
より一層好奇心に溢れた瞳で明里が見つめ返してくる。
「うん!だからその先はどうなったのかって聞いてるのよ~!」
「?????」
恥ずかしそうに言う明里の言葉にきょとんとする私。
「??? 雫? あんたまさか『それで終わりです』なんて言わないわよねぇ?」
「…………え?」
先程の楽しそうな表情から一転、明里の顔が曇り始める。
「まさか、本当の本当にそれだけなわけ……?」
「……だけ……です……けど……」
ピクピクと引きつる頬に、くっきりと浮かぶ額の青筋。
……こ、怖い……!
狼に怯えた子羊のような瞳で明里の顔を窺うと、怒りに打ち震えた明里が堪りかねたかのように声を荒げた。