泣き虫王子と哀願少女


「あんたばかぁっっ!?!?」

「ひぃっっっ……!!!」



十数年前社会現象にもなった、某SF人気アニメのヒロインばりの台詞が私の横顔に勢いよく飛んできた。



「なんであの状況で進展なしなのよっ!他の女の子達のタオルは受け取らなかったのにあんたのだけ受け取ったってことは、少なくともあんただけはいくらか特別ってことでしょ!?」

「と、特別っ!?」

「そうっ!特別っ!もうお子様じゃないんだから『笑ってくれたからそれだけで充分』な~んて乙女チックなこと言ってる場合じゃないっつーの!」

「お、お子様……」



グサリ。



手厳しい言葉が、次々と横顔に突き刺さる。



「だいたいねー、あのモテっぷりで未だフリーってこと自体が奇跡に近いんだから、雫が亀みたいにいつまでもモタモタしてると誰かにとられちゃうよ!?」



グサグサ。



情けないことにあながち間違いとは言い切れないため、反論のしようもない……。

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