泣き虫王子と哀願少女
―― い、いつからそこに……!
「さっきそこで会った」
私の心を知ってか知らでか、潤君が説明をする。
「そ、そっかぁ! ご、ごめんね、気付かなかったぁ……!」
あははと頬を引きつらせながら無理矢理笑顔を作った。
「んにゃ~!んにゃ~!」
そんな私にはおかまいなしに、ニャン太が潤君が手にさげているビニール袋を、一生懸命背伸びをしながらクンクンと嗅いでいる。
「ああ、飯か」
それに気付いた潤君が、袋の中からガサガサと餌をとり出しニャン太の前へと差し出した。
「ほらよ」
「!!! んにゃぁ~!!!」
目の前に置いた途端、ニャン太がいつもより更に嬉しげな声をあげ夢中で餌にかぶりついた。