泣き虫王子と哀願少女
……じゅ、潤君てやっぱり不思議な人……。
野良猫のためにここまでするなんて、優しいのか、それとも単なる馬鹿なのか……。
やはり何ともつかみどころのない人である。
そんなことを悶々と考えながら満足気にニャン太の頭を撫で回す潤君を見つめていると、突然潤君がこちらを向いた。
「!」
「あ、そうだ。今日の放課後は図書室集合だから」
「あ!う、うん!わかった!」
「鞄も持ってこいよ」
「?う、うん」
平然としているところを見ると、見つめていたのはばれてはいないようだ。
ドキドキとする胸を抑えながら必死に動揺を押し隠す。
「んにゃにゃ~!」
早くも最高級わら納豆を食べ終えたニャン太が、まだ食べたりないのか今度は私が用意した納豆にかぶりついた。
「む~! さっきは見向きもしなかったのにぃ……」
「こいつ、食い意地張ってるからな」
やれやれと思いながらどさくさに紛れてニャン太の頭を撫でようと手を伸ばす。
ぷいっ!
途端に「触んないでよ」と言わんばかりに、思いきりそっぽを向かれてしまった。
「とほほ……」
どうやら私とニャン太の仲も、潤君同様まだまだ前途多難なようだとつくづく痛感したのだった……。