泣き虫王子と哀願少女


「ね、ねぇ! 潤君は中間テストの順位は何番くらいだったの?」

「……5番」

「ご、5番っ!?!?」



想像以上の順位に声が裏返る。




「ね、念のため聞くけど、下から5番じゃないよね……?」

「……上から」

「!!!」



イケメンで運動神経もいいうえ、更に頭までいいとは……!



自分から質問しておいてなんだが、ここまで何もかもそろっていると、何をやっても平凡な私にとってはむしろ嫌味のようにさえ思えてくる。



「潤君て頭も良かったんだ! す、すごいんだね!」

「……べつに……」



もっと自慢してもいい順位なのに特に嬉しそうな顔もせず、淡々と英語の教科書を目で追っている。


興味がなさそうなのだからここで話が終わってくれればよかったのだが



「そっちは?」

「へっ……?」

「そっちは何番だったんだ?」



一番聞かれたくない人に、今一番聞かれたくないことを聞き返されてしまったのだった。

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