アキと私〜茜色の約束〜

身体が辛うじて通るぐらい開いた扉。
中の様子は、ベッドの周りを囲うカーテンで見えない。

秋人は私が入ってきたことに気付いていないようで、話を続ける。


「俺は…インターハイが終わったら、もう本格的にバスケは出来ないと思う」


思いがけない秋人の告白に、つい「え…」と声を出してしまいそうになって、慌てて手で口を塞いだ。

本格的にバスケが出来ない?

頭の中で秋人の言葉の意味を考えるけど、出る答えは全部受け入れたくないことで、必死で少しでも良い意味を繕う。

だけど、


「あの事故でやったとこ、やっぱりもう駄目みたいだ」


秋人から出た言葉は、どうやっても良いように解釈出来なくて、私の視界を真っ暗にさせた。


「今まで騙し騙しでやってきたけど、俺の足は一試合走りきれない」



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