アキと私〜茜色の約束〜
「なぁ、アキ…怒ってんのか?だから、目…覚まさねぇのかよ…」
当然の如く、アキからの返事はなくて。
代わりにピッ、ピッ、という機械の音だけが聞こえる。
「ごめ…んな…っ…ホント…に、ごめん…」
途切れ途切れの言葉の間に、秋人が嗚咽を漏らす。
長い間幼馴染をやってきた中で、二度目の秋人の涙。
胸に突き刺さる。
自分の息遣いが秋人に聞こえないように口元を抑えた手が震え、そして溢れた涙がそれを伝った。
「俺がっ…俺が轢かれれば良かったんだ…俺があの時、飛び出さなければっ…お前がこんな事にならずに、すんだのに…っ」
持っていた鞄を握り締めて、下唇をきつく噛み締める。
そうしないと、声が漏れてしまいそうだった。
「なんでだよ…なんで、俺なんかを助けたんだよ…アキ」