アキと私〜茜色の約束〜
突然、ダンッと大きな音が中から聞こえ、ビクッと肩を揺らした。
恐らく、秋人が自分の太腿を思いっきり強く叩いたのだろう。
爪が食い込むほど強く拳を握り締めて、悲痛な思いに苦しんでる秋人の姿が目に浮かんでくる。
ずっと、ずっと、秋人は一人で抱えていたんだ。
自分を助けて目の前でぐったりと血を流すアキを、秋人はどんな思いで見ていたんだろう。
俺のせいだって、何度自分を責めたんだろう。
誰にも言えずに。
たった15歳の秋人が一人で背負えるような問題ではないのに。
私はこれ以上ここにいられなくて。
秋人の想いを聞くのが怖くて。
音を立てないように部屋の扉をそっと閉めた。
一歩、また一歩と、足音に気付かれないように歩く。
階段の目の前まで行くと、私はとうとう走り出した。