アキと私〜茜色の約束〜

突然、ダンッと大きな音が中から聞こえ、ビクッと肩を揺らした。

恐らく、秋人が自分の太腿を思いっきり強く叩いたのだろう。

爪が食い込むほど強く拳を握り締めて、悲痛な思いに苦しんでる秋人の姿が目に浮かんでくる。


ずっと、ずっと、秋人は一人で抱えていたんだ。

自分を助けて目の前でぐったりと血を流すアキを、秋人はどんな思いで見ていたんだろう。

俺のせいだって、何度自分を責めたんだろう。

誰にも言えずに。
たった15歳の秋人が一人で背負えるような問題ではないのに。


私はこれ以上ここにいられなくて。
秋人の想いを聞くのが怖くて。

音を立てないように部屋の扉をそっと閉めた。


一歩、また一歩と、足音に気付かれないように歩く。

階段の目の前まで行くと、私はとうとう走り出した。



< 103 / 212 >

この作品をシェア

pagetop