アキと私〜茜色の約束〜
階段を一気に駆け下りる。
バタバタと大きな足音が響いても、気にする余裕なんてない。
一回も止まらず降りきると、一階のロビーを早足で横切って正面玄関を出た。
病院の門を出たところで立ち止まり、アキの病室の窓を見上げる。
私…何もわかってなかった。
おばさんのことといい、秋人のことといい、自分が辛いからって人のせいにして。
被害者ぶって、最低だ…私。
ごめんね、秋人。
気付いてあげられなくて、ごめん。
自分だって足を大怪我して、運動出来なくなるかもしれない恐怖と戦いながら、アキの事故の責任を一人で背負ってたんだね。
そんな秋人を、私は…更に追い詰めた。
秋人は悪くないのに、アキがいない寂しさをぶつけるところがなくて、私は秋人を恨んだ。