アキと私〜茜色の約束〜
「その時、言われたんだ。バスケはもちろん、茜のことも負けない。正々堂々と同じコートに立って戦おうって。あいつ、本当にバカだよな。俺なんて、昔から茜の視界の端にしか映ってないのに。茜は、表では秋人なんて知らないとか放っておけばって言ってるけど、なんだかんだ一番気にしてるんだぜ、だなんて」
そう言って、空を仰ぐ秋人。
夕日が秋人の目に薄っすらと溜まる雫に反射して光っている。
「俺、絶対優勝するから。だから、茜」
強い眼差しで私を見据える秋人。
その本気が伝わってきて、思わず身構えてしまう。
「決勝戦の日のこの時間、ここで待ってる」
「え…」
“そうだ、茜。2月23日予定空けとけよ”
事故の日、アキと別れ際に交わした約束が脳裏を過ぎった。