アキと私〜茜色の約束〜

胸が騒ついて、息がし辛い。
それほど、激しく心臓が揺れ動いている。


「な、なんで…?」

「話があるんだ」

「今じゃ駄目なの?」


声が震える。

あの時のアキも同じようなことを言ってた。

ちょうど今と同じ時間帯で、空が茜色に染まっていて。


『2月23予定空けとけよ?』

『え?』

『話がある…大事な話』

『大事な話って…今じゃ、駄目なの?』

『その日に言いたいんだよ』


アキは真っ赤に顔を染めて、恥ずかしそうに視線を彷徨わせていたっけ。
結局、約束は果たせないまま、もう数年が経過してる。

だから、不安で不安で仕方がないんだ…


「決勝戦の日に言いたいんだ」


秋人は私の隣りからいなくならないよね?

この、茜空の下で交わした約束。

今度はちゃんと果たせるよね…?


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