アキと私〜茜色の約束〜

「絶対、来いよ」


秋人はそう言うと、少し散歩して帰るわ、と土手を歩いて行った。

小さくなる秋人の背中。
私は、その背中を見えなくなるまでずっと見つめ続けた。



翌日の準決勝は、手に汗握るような接戦だった。

秋人はもちろんフル出場。
今までとは違い、前半も後半も全力で走ってプレーしていた。

私は始終、爪が食い込むぐらいきつく手を握り、どうか無事に試合が終わるようにと、祈ることしか出来なかった。

いつもより長く感じた試合も、最終クォーターの残り10秒。

秋人が綺麗なスリーポイントシュートを決め、82-75という僅差で決勝進出を決めた。


< 117 / 212 >

この作品をシェア

pagetop