アキと私〜茜色の約束〜
その日の夕方。
私はアキのお見舞いに来ていた。
おじさんとおばさんは気を遣ってくれたのか、ちょっと出てくるから宜しくね、と二人揃って病室を出て行った。
ピッピッと、規則正しく機械の音が鳴る。
空気を入れ替えようと窓を開けると、カサカサと木の葉を揺らしながら暖かくて気持ちいい風が入ってきた。
「アキ、夏だよ。今年は去年よりも熱くなるんだって」
窓際の丸椅子に座り、背中に風を感じながらアキの手を握る。
「ねぇ、アキ。このプロミスリング、もうボロボロだね。そりゃそうか。もう9、10年前に作ったやつだもんね」
アキの手首で揺れるそれに触れると、ほつれた部分を親指の腹で摩る。
何度も補修した跡があるプロミスリング。
これを、どれほどアキが大事に、大切にしてくれていたのかがわかる。