アキと私〜茜色の約束〜
「あの時のアキの願い、覚えてる?」
秋人の願いは“無敵になりたい”だった。
だけど、どうしてもアキの願いが思い出せない。
思い出そうとしても、そこだけ靄が掛かったようにアキの笑顔がボンヤリと浮かぶだけ。
秋人の願いは思い出せたのに、どうしてアキのは思い出せないんだろう。
ねぇ、アキ。
アキはあの時、何を願ったの?
ふと、この前見た夢の続きが頭に浮かぶ。
あれが本当なら、アキの脇腹には傷はないはず。
私はアキの手を離すと布団を少し剥がした。
服を捲れば、あれが誰だったのか、真実がわかる。
だけど、
「やめよう」
私は迷った挙句、再び布団をアキに掛け直した。
なんとなく、真実を知りたくなかった。
いつまでも私のヒーローはアキだと、思っていたかったのかもしれない。