アキと私〜茜色の約束〜

重なる視線にドキッと胸が跳ね上がる。

秋人が私に拳を向けて頷く。
「行ってくる」、そんな声が聞こえた気がした。

同時に、土手で交わした約束が頭に浮かぶ。


『決勝戦の日のこの時間、ここで待ってる』


大丈夫。
秋人にはアキがついてる。

私がこくりと頷き返すと、秋人は満足したようにふっ、と一瞬口元に笑みを浮かべてセンターサークルに並んだ。

挨拶の後、両チームのジャンパーがサークル内に向かい合って立つ。

他の選手は陣取るようにサークルを囲って。


審判がボールを天高く上げたーーー。


一斉に選手が走り出す。
応援も一段と大きくなり、会場が熱気に包まれた。

ジャンパーが弾いたボールを最初に取った秋人は、華麗にもディフェンスを交わすと、あっという間に先制点を決めた。



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