アキと私〜茜色の約束〜
「茜っ!」と弥生が呼び止めるのを無視して、私は屋上に向かった。
屋上の柵に手を置き、空を見上げる。
「アキ…私、悔しいよ…」
悔しくて、悔しくて、堪らない。
ここにいるはずのアキがいない。
アキの居場所になるはずだった所に、アキの人生をめちゃくちゃにした奴が堂々と座っている。
それが堪らなく悔しくて、憎い。
涙が一筋流れた時、突然、ガチャッと屋上のドアが開いた。
咄嗟に振り返ると、相変わらず辛そうな目と表情の秋人が立っていて。
その姿に、一瞬で胸に影が落ちた。
話したくない。
顔も見たくない。
一緒にいたくない。
一刻も早く屋上を出たくて、秋人の脇を通りドアに向かうと、ぐっと腕を引っ張られた。
「…離してよ」
「嫌だ」
「っっ、離して‼︎」