アキと私〜茜色の約束〜

アキが息を引き取った時間は、ちょうどインターハイの決勝戦が終わった時間だった。


茜空を見上げる。


「私ね、インターハイの決勝戦でアキを見たの。最後、秋人がスリーポイントを打った時、アキも秋人の隣でガッツポーズしてた。中学の時みたいに自信に満ち溢れた顔して」

「そっか」

「もう一度、アキがバスケしてる姿…見たかったな…」


唇が震える。

この二日間、散々泣いたはずなのに、涙は枯れるどころか次々に溢れ出てくる。


アキの笑顔が好きだった。
アキの怒った顔も泣いた顔も、照れた顔も。

あの大きな手と背中も。
声も、温もりも。

アキの全てが大好きだった。


アキがいなくなってしまったなんて、信じられない。

今も目を閉じると、アキを思い出せる。


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