アキと私〜茜色の約束〜
「なんでまだ待たせてるのよ?」
弥生は何杯目かわからないビールをグイッと喉に流し込むと、「スミマセン」と店員を呼んだ。
「だって、あれからそういう話にならないし」
「なら自分から言えばいいじゃない。あ、ビールもう一つください」
「でも…タイミングとか…難しくて」
「そんなのんたらしてたら、他の女に取られるよ?ほら」
弥生は頬杖をつきながら、秋人をくいっと顎で指す。
それにつられて見ると、秋人にべったりとくっつく中学の同級生の姿があった。
「あの子、中学の時秋人君のこと狙ってたんだよね」
「え?そうなの?」
「そうだよ。茜は知らないかもしれないけど、アキ君と秋人君って中学の時凄くモテてたんだよ?だけどアキ君には茜がいたし、諦める子が多かったの」