アキと私〜茜色の約束〜

前を見据えて、私の半歩前を歩く秋人。

秋人はもう私のことなんて何とも思ってないのかな…

弥生に自信持ちなよって言われたけど、秋人のドライな感じが自信を喪失させる。

嬉しい言葉を言われても、それは幼馴染としての言葉なのかもしれないってネガティヴに考えてしまう。


数センチのところにある手を握れば何か変わるかな…
もっと秋人に近付ける?


少しずつ、自分の手を秋人に近付ける。
妙にドキドキして、手に汗が滲む。

だけど、あと数ミリのところで秋人が、「あのさ」と切り出して、その手は空を切った。



「ねぇ、本当にいいの?」

「大丈夫だって」


私達は秋人の提案で、夜の中学校に来ていた。

校門が開いていて、簡単に入れた。
どうやら今日は、体育館を開放しているようで、中ではママさんバレーの練習をしていた。


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