アキと私〜茜色の約束〜
「懐かしいね」
夜の校庭は、なんだか少し寂しい感じがする。
昼間、生徒達で賑わう校庭とは別世界のようだ。
「そうだな。変わってねぇな」
秋人は懐かしそうに目を細めると、校庭の端にあるバスケのミニコートの真ん中でバスケットゴールを見つめた。
「俺さ、中学の時ぐれてたじゃん?だからここでの思い出って正直そんなないわけ。でもさ、唯一あるとすれば、アキがここで俺に賭けを持ちかけたことだ」
「賭け?」
「そう。もし、3本連続でスリーポイントシュートが入ったら、また一緒にバスケしようって」
「それで?入ったの?」
「もちろん、あのアキだぜ?でも俺、素直じゃなかったからさ。ふざけんなって逃げたけど、正直嬉しかったんだよな」
「そんなことあったんだ…」