アキと私〜茜色の約束〜

「それでもあいつ。諦めなくてさ、本当馬鹿だよな」

「アキらしいね」


最近、やっとアキのことを思い出して泣かなくなった。

私の中で、アキのことは綺麗な思い出になったってことだと思う。

それはそれで悲しいけれど。
アキのことを忘れたわけじゃないし、アキの存在はやっぱり私の中で大切なもので。

それはこの先、結婚して子供が出来ても変わらないと思う。


「茜、勝負しない?」


物思いにふけっていると、秋人が言った。

秋人はいつの間にかバスケットボールを持っていて、ほら、と私にボールを渡してくる。


「ボールどうしたの?」

「そこに落ちてた。また仕舞い忘れだろ」


体育の後とか部活の後とか、たまに片付け忘れがある。

中学の時、それで何度も顧問に怒られたことがあったっけ。


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