アキと私〜茜色の約束〜
でも、いつも受け身の私。
今回ぐらいは、私から気持ちを伝えたいとも思う。
突然のプロポーズで戸惑ってしまったけど、少し時間が経って気持ちが整理出来てきたし。
秋人は私の胸の内も知らず、シュートモーションに入った。
息を飲むほど綺麗なフォーム。
地を蹴り、高くジャンプした秋人のロングTシャツが少し捲れて、脇腹に古傷がちらりと見えた。
やっぱり、あの男の子は紛れもなく秋人だったんだ。
怪我を負わせて、しかも跡まで残ってしまって申し訳ないけど。
今となっては、その傷跡を見ると嬉しくなってしまう。
あの時からずっと、秋人は私を守ってくれていたんだっていう証だから。
秋人が放ったボールは高く弧を描く。
私が瞬きもせずにボールを目で追っていると、視界の端に夜空に拳を掲げる秋人の姿が映った。