アキと私〜茜色の約束〜
『はい、秋人の分』
そう言って、チョコレート菓子を俺の手に乗せる。
『いいのか?俺で。本当はアキと食べたいんじゃねぇの?』
茜がくれた菓子を手の上で転がす。
茜の方を見れなくて、川の水面を眺める。
こんなこと聞くなんて、俺って本当にダサいし、未練がましい。
茜が昔からアキが好きなのは、わかりきってることだ。
茜の視界に俺はいない。
告白しなくたって、俺の初恋は失恋だってことは確定してる。
俺は茜が幸せになれるならそれでいいし。
アキなら茜を不幸にしない、絶対に。
それなら、俺は茜に自分の気持ちを言わず、このままの関係を続けたい。
そう思ってるのに、こんな未練がましいこと言っちゃうし。
最近、二人が一緒にいるところを見るのが、正直しんどかったりする。