アキと私〜茜色の約束〜
アキの居場所に違う誰かがいるのを、この目で見たくなかった。
見てしまったら本当にアキがいないことを認めざるを得ない。
そんなの耐えられなかった。
だけど、インターハイは高校最後の大会。
今回こそは見ておかないといけない気がした。
別に秋人に言われたから観に来たわけじゃないんだから…
私は決勝戦までの時間を確認すると、飲み物を買いに購買に向かった。
「応援してますっ!」
「頑張って下さい‼︎」
購買がある一階の廊下に降りると、真っ先に耳についた黄色い声。
何処ぞのアイドルだよ、と突っ込みたくなるほどの女の子の声に眉を寄せて見ると、その輪の中心に秋人の姿があった。
涼しい顔で聞き流す秋人の姿に、胸がチクッと疼く。
大事な決勝を前に、こんなとこであいつは一体何をしてるのよ。