アキと私〜茜色の約束〜
家に帰ると、リビングで深刻な表情で離れて座る両親にすぐに駆け寄る。
『俺、俺…ここに残りたい』
母さんには悪いけど。
俺には母さんと親父、どっちが良いかなんて選べない。
俺は二人共同じぐらい大事だから。
母さんは女だから、俺が一緒に行って守るべきだとも考えた。
だけど、俺は…
茜と、アキと、一緒にいたい。
茜と離れたくないんだ。
ややの沈黙の後、母さんが俺をそっと抱き締めた。
いつ振りだろうか。
母さんにこうやって抱き締められるのは。
母さんはこんなに小さかったかな。
こんなに細くて、弱々しかったかな。
俺は、やっぱり間違った選択をしたかもしれない…
この先、母さんを守れるのは俺だけなのに。
『秋人。ごめんね、辛い選択をさせて』
優しい声が微かに耳元で震えた。