アキと私〜茜色の約束〜

今はもう一つの準決勝の真っ只中で、この試合の勝者と次に当たる。

副キャプテンや他のレギュラー選手は、応援席でその試合を観ているのに。
秋人は呑気にこんなとこで女の子に囲まれて油を売ってるなんて、本当に最低。

アキならもっと…

震える拳をギュッと握り締めると、その集団から背を向けた。



決勝戦が始まった。
これに負ければ三年は引退、勝てばインターハイ出場が確定する。

前半は相手チームのペースで、試合開始から常に先行されたままハーフタイムに突入した。


「秋人のやつ、何なのよ…やる気あんの?」


私の苛立ちはピークに達して、つい心の声が口に出てしまった。

私も小中とバスケをやっていたからバスケのことはわかってるつもり。

前半、秋人の活躍は全くなかった。
それどころか、やる気すら感じられず。
パスが回ってきても、チャンスなのに攻め込むこともシュートを打つこともせず、すぐにボールを戻すだけで。



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