アキと私〜茜色の約束〜

「あいつはいつもあんな感じだよ。後半になるとエンジン全開になるんだ。前半だって別に悪い動きをしてるわけじゃないけど、後半のあいつは格別。見てるこっちがわくわくしてくる」


隣りの席に座る、恐らく他校のバスケ部員とマネージャーが、秋人のプレーを見てかっこいいと興奮気味に話すのが聞こえてきた。

“後半のあいつは格別”
その言葉通り、前半とは打って変わって動きが良くなった秋人。

まるで別人だ。
次、どんなプレーをするのか、目が離せない。

ドリブルをすればディフェンスを難なくするりと抜き去り、シュートは百発百中。
秋人がボールを持つと、会場の雰囲気が変わった。

あんなに苛立っていた私も、気が付くと秋人のプレーに目が釘付けで。
心が躍る、とはこういうことなんだと思った。

結局、秋人の大活躍で、気付けば85-64と差をつけて、見事インターハイ出場を手にしていた。


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