アキと私〜茜色の約束〜

「でも、そんなことしたって秋人は変わらないよ!」

「俺、秋人とバスケがしたいんだ。あいつからパスを受け取るのが好きなんだよ」

「アキ…」

「約束したんだ。二人で高校で三大大会制覇するって」

「っっ」


アキのその言葉に、はっとした。


思い出す。
小五のとき、ミニバスケのコーチに連れて行ってもらったインターハイの決勝戦。

盛り上がる体育館。
緊迫する空気。
そして、試合終了のホイッスル。

センターコートで勝利を喜び合う優勝チームと、ベンチで悔しさで涙を流す準優勝チーム。

心が震えたのを覚えてる。


『すげぇな、アキ』

『ああ、凄い』


隣りを見ると、感極まってそれ以上言葉が出ない様子のアキと秋人がいた。



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