アキと私〜茜色の約束〜

「おばさん!おじさん!」


手術室の前のベンチに座るアキの両親の姿を見つると、ここが病院だということを忘れて叫んだ。


「おばさんっ、アキは⁉︎」

「茜、ちゃん…」


小刻みに何度も何度も首を振るおばさんの目からは止めどなく涙が溢れ、おじさんがその小さな背中を摩る。


「土手沿いの道で…トラックに、跳ねられて…」


そう声を震わせながら言ったおじさんも、くっ、と嗚咽を漏らした。

土手沿い?
トラックに跳ねられ、た…?

嘘でしょ…
大掛かりなドッキリか何かだよね?

手術室の重厚なドアを恐る恐る振り返る。
手術中という赤いランプが、不安を駆り立てた。

アキ…大丈夫だよね…
帰って、くるよね…?



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