アキと私〜茜色の約束〜
「茜にやる。インターハイへの切符だ」
「え…」
「アキの想いだよ」
「それってどういう…」
秋人は、ふっ、と微かに笑うと、「行くわ」と、私の質問に答えず立ち上がった。
秋人のズボンを咄嗟に掴む。
「ねぇ、答えてよ。秋人」
アキの想いってどういうこと?
あの日、二人は何を話していたの?
「教えてやるよ。インターハイ、優勝したらな」
そう言って、秋人は背を向けた。
次第に小さくなる背中が頼りなくて。
何故だか泣いてるように見えて。
それ以上声を掛けられなかった。