アキと私〜茜色の約束〜
だけど。
私は、秋人の気持ちに寄り添うことが出来ない。
アキはそれ以上に辛いんだよ。
言いたいことも言えない。
食べたい物も食べれない。
目が開かなければ、パスもスリーポイントシュートも打てない。
手に力が入らなければ、バスケットボールも触れない。
足が動かなければ、広いコートをドリブルで走り抜く事も出来ない。
眠ったままのアキには、大好きなバスケが出来ないんだ。
暗い世界で一人、今もずっとずっと彷徨ってるんだから。
「茜?」
弥生の声にハッとして、咄嗟に秋人から目を逸らす。
「秋人君のこと、気になる?」
「別にそんなんじゃないし…」
気になるわけないじゃない。
私は秋人が嫌い…
大っ嫌いなんだから。
簡単に許せるわけない。
アキの未来を奪った根源を作った秋人を、私が許しちゃいけない。
もう、昔みたいに仲の良い幼馴染になんて戻れないんだから…