アキと私〜茜色の約束〜

インターハイ出場を決めた翌日から、バスケ部は8月上旬に開催される本戦に向けて、これまで以上に過酷な練習が始まった。

朝夕練の他に、昼休みにも体育館からボールの音が響き、校庭では応援団の練習により一層熱が入る。

学校はバスケ部のインターハイムードに包まれて。

7月中旬。
季節は完全に春から夏に変わっていた。

日差しが強くなって、少し外を歩くと汗ばむようになった。

土手の芝生や青々しく、川は太陽の光で輝きを放っている。

私は花屋で赤い花を一輪買うと、土手を病院に向かって歩く。
赤はアキにピッタリの色で、お見舞いに行くたびに一輪買ってアキの病室の一輪挿しの花瓶に挿す。


「すみません。ボール取ってもらえますか?」


花の香りを嗅いでいると、私の足元に野球ボールが転がってきてそれを拾う。


「行くよー!」

< 44 / 212 >

この作品をシェア

pagetop