アキと私〜茜色の約束〜
合図してボールを投げると、小学校高学年ぐらいの男の子二人は元気よく礼を言った。
「元気いいなぁ」
キャッチボールをする二人が、アキと秋人と被る。
よくああやってキャッチボールしてる二人を見ていたっけ。
何をやってもアキより秋人の方が上達が早い。
アキは努力肌で、秋人は天才肌。
バスケだって秋人の方がレギュラーになるのは早かった。
だけど、アキはこつこつと練習を重ねて秋人に追い付こうと努力する。
二人はお互いを尊敬する、一番のライバルだった。
多分、秋人がグレなければ今もずっとその関係は変わらなかったと思う。
予選決勝の日以来、秋人とは何も話していない。
学期末試験が行われるため、再び席が出席番号順に戻って、秋人と隣りではなくなった。
何となくほっとしたけど、それと同時に胸の奥で何かが疼く。