アキと私〜茜色の約束〜
Half time
「では、有意義な夏休みを」
先生の端的な挨拶が終わり、日直の号令のあと一気に煩くなる教室。
今日は終業式。
明日から長い夏休みが始まる。
教室の彼方此方から、やっと夏休みだ、と歓喜の声が聞こえてくる中、私は淡々と帰り支度を進める。
別に夏休みだろうが何だろうが私にはあんまり関係ない。
部活だってやってないし、友達はいないから何処かへ行くわけじゃないし。
夏休みだからって、何がそんなに嬉しいんだろう。
何もワクワクしない。
騒ぐクラスメイトを横目に、はぁ、と息を吐くと、
「ねぇ、茜。これからみっちゃん達と駅前に出来たケーキバイキング行くんだけど一緒に行かない?」
弥生が目をキラキラ輝かせて声を掛けてきた。
この目は相当ケーキバイキングが楽しみで仕方がないって顔だな、と思いつつ、ごめん、と言い掛けて口を噤む。