アキと私〜茜色の約束〜
一瞬で私と弥生の間に緊張が走り、身体が強張る。
だけど、えっちゃんと咲ちゃんはそんなこと気付くはずもなく続ける。
「あ!私も聞いたことある!本当はバスケ部の期待の新人は秋人君じゃなくて別のアキ君だったって話でしょ?」
私は言葉を失った。
何て答えたらいいのか瞬時に判断出来なくて、膝に置いた拳をギュッと握る。
「え…何それ?」
弥生もその噂は初耳だったようで、驚いてる様子だ。
「うちらが一年の時に少しだけ流れた噂だよね。本当はもう一人のアキ君の入部を待ち望んでたんだけど、事故に遭ったって」
「私はバスケ部の先輩から聞いたから間違いないと思うよ?」
二人の話を聞いて唖然とした。
一年の時、そんな噂が回っていたなんて全く知らなかった。