アキと私〜茜色の約束〜
試合の流れが相手に向いて、仲間がその空気に飲まれそうになると、アキは必ず一人一人に声を掛けて連れ戻すムードメーカーでもあった。
とにかくバスケをしている時は、何も目に入らない、バスケのこと以外考えられないというぐらい集中して。
バスケが楽しくて仕方がないって、生き生きした表情を見ると、こっちが妬けてくるほどだった。
咲ちゃんは、「さてと」と言って席を立つ。
「私もケーキ取ってくる。茜ちゃんは行かないの?」
「私はもうお腹いっぱいだから」
ハハハ、とお腹を摩ってみせる。
アキの噂話を聞いて、お腹というよりも胸がいっぱいで、とてもじゃないけど物が喉を通りそうになかった。
「そう?なら、ちょっと行ってくるね」