アキと私〜茜色の約束〜

世間一般的にイケメンの部類に入るらしい秋人は、強豪チームのキャプテンという肩書きも相まって、休み時間になると席に女子だけでなく男子も集まってくる。

大勢の輪の中心で呑気に笑ってる秋人を見ていたくなくて、私はその度に机に突っ伏した。

隣りの席になった秋人と、話すどころか一度も目を合わせることなく下校時間になり。

SHRのチャイムと同時に教室を飛び出し、帰路についた。


「秋人のやつ、なんで笑ってられるのよ…」


さっきの秋人の笑顔を思い出すだけでイライラする。
ムカつきすぎて、涙が滲むほどだ。

どこにも当てられないこの怒りを、道に転がった小石にぶつける。
それは勢いよく転がって、うちの向かいの家の前に路駐していた車のタイヤにコツンと当たった。

ヤバい、当たっちゃった。
慌てて車の側まで行くも、中に人は乗っていない。


「田井不動産…?」


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