アキと私〜茜色の約束〜
咲ちゃんがいなくなると、すぐに天井を見上げた。
天井から吊るされた電気の灯りが、涙で滲んで星のように瞬いている。
これ以上下を向いてるとそれが溢れてしまいそうだった。
アキ。
やっぱりアキは凄いよ。
高校の先輩達にも認められていて。
その話を聞いて、アキのプレーを見たいって言う人だっている。
アキは自慢の幼馴染だよ。
「大丈夫?」
ケーキを取り終えた弥生が背中を優しくトンと叩く。
「うん、平気。二人は?」
「まだ選んでるよ。少し休んだからまだまだ食べるぞって張り切ってた」
「それは凄いね」
まだ夢中でケーキを選んでる二人を見て、くすくすと笑みが漏れる。
いいなぁ、こういうの。
懐かしいな…
弥生は椅子に座り、持ってきたケーキを一口食べて「美味し」と漏らすと、フォークを置いて私を見据えた。
「今日は病院に行かなくて良かったの?」