アキと私〜茜色の約束〜
高校生活最後の夏休みが始まった。
私は朝目が覚めると、カレンダーを一枚捲って8月2日から7日に赤い丸印を付けた。
夢を見た後だからか、心臓の鼓動がうるさい。
今日の夢はいつも見るものと少し、いや、だいぶ違った。
男の子にプロミスリングを貰うところなんて、今まで見たこともない。
あれが私の忘れてる過去なのか、私が作り上げた妄想なのか。
それはわからないけれど。
そのせいで、気分が落ち着かない。
やたらとあいつのことを考えてしまう。
だから朝から何故か思い立って、カレンダーに印まで付けてしまったんだ。
「宿題でもやっちゃお」
モヤモヤするこの気持ちを無にするには勉強するのが一番。
だけど。
鞄を開きファイルを取り出すと目的の物がないことに気付いて、夏休み初日から盛大なため息を吐く羽目になるのだった。