アキと私〜茜色の約束〜

目を閉じる。

ザザザァーッという噴水が吹き上げる音が妙に心地良い。
心が穏やかになって、浄化されるような感覚だ。


耳を澄ますと、遠くから子供達の声が聞こえてくる。

この声は…アキと秋人と私…?
三人の幼き声だ。


あれは、私が木から落ちる数ヶ月前のことーー。



□■□


『じゃじゃーん!』

『何これ?』

『プロミスリングっていうんだよ。ママと作ったの!』


私の手には赤とオレンジ、二本の少し歪なプロミスリング。


『プロミスリング?』

『うん!これを結ぶ時、お願い事をするの。何でもいいんだよ。バスケ選手になりたいとか、ステーキを沢山食べたいとかでも。ずっと肌身離さず付けて、これが自然と切れた時その願いが叶うって言われてるんだ』

『へぇ!凄いじゃん』

『これ、2人にあげる。アキは赤で、秋人がオレンジね』


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