アキと私〜茜色の約束〜
今思い出すと、そういえば、と思い当たる節がある。
小学校の時、やたら手を繋ぐのを恥ずかしがったり、抱きつくのを引き剥がされたり。
それまでは普通にしていたことなのに。
あれは反抗期かと思ってたけど、恥ずかしさからくるものだったんだ。
「今もアキが好きか?」
秋人の問いに頷く。
アキへの想いは確かだ。
私はアキが好き。
だけど、何かが今までと違う。
私の中はアキでいっぱいだったはずなのに…
今は別の人も、そこにいる。
「はぁ…アキはズルイな」
「ズルイ?」
「昔も今も、茜の中はアキでいっぱいで俺が入り込む隙がない」
そう言って、秋人は廊下の窓から真っ青な空を見上げる。
寂しそうで切なそうな、そんな横顔に胸が苦しくなった。