アキと私〜茜色の約束〜
秋人の言う通り。
昔はアキ以外、私の中に入り込む隙なんてこれっぽっちもなかった。
生活がアキ中心で、四六時中アキを目で追って。
そもそも、秋人は私にとって兄弟のような存在で、そういう対象として見たこともなかった。
だけど、今は?
私の中に、確かにアキは変わらず存在する。
だけど、他の人もーーー、
秋人もアキと同じぐらい大きな存在として、胸の中にいるんだ。
だから、秋人の切なそうな表情を見ていると、「それは違う!」って叫びたくなって、慌てて口を噤んだ。
秋人はふぅ、と息を吐くと、茜、と私を再び見据えた。
「ん?」と返事をするも、緊張で声が掠れてしまう。
浮き出た喉仏、切れ長の目、筋が通った鼻、スッとした顎筋。
秋人はいつの間にこんな大人になったんだろう。
まだ仲良かった小学校の頃は、どこかあどけなさが残っていたのに。