アキと私〜茜色の約束〜

「茜ちゃん?」


廊下の角を曲がるとすぐに聞こえた声に顔を上げると、アキの病室から花瓶を持ったアキのおばさんが出てくるところだった。


「…おばさん」

「久しぶりね」


おばさんはにこやかに微笑みながらそう言うと、私の前で足を止めた。

おばさんとは不動産屋が来ていたあの日から会っていない。

何となく気まずくて、引越しの当日も挨拶に来てくれたのに出て行くことが出来なかった。


「いつもお見舞いに来てくれてありがとう」

「おばさん、元気そうで良かった」


久しぶりに会うおばさんは、前に比べて少し太った気がする。

事故からすぐに、急激に痩せてしまって。
頬は痩け、骨と皮だけの身体。
顔は青白く、生気を失った瞳をしていたから。

だけど、今は前に比べて顔色は良いし、笑顔も戻りつつあるように見える。


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