アキと私〜茜色の約束〜
「いつも明希の側にいてくれてありがとう…明希を、明希を忘れないでいてくれてありがとうね」
「おばさん…」
髪を撫でながら、微笑む。
その涙で濡れた目は、感動屋だったアキに凄く似ていて…
涙が更に溢れてきた。
「今ね、秋人君が来てくれてるのよ」
「え?秋人が?」
突然出た“秋人”という名前に心臓が跳ね上がる。
今日はインターハイの開会式だったはず。
うちはシード枠に入っているため初日に試合はなくて、明日の第二試合がうちの初戦になる。
恐らく開会式が終わってここに寄ったんだろう。
あの日からずっと、考えないようにしても考えてしまう。
秋人が、まさか私をずっと好きでいてくれたなんて。
考える度に、胸が締め付けられる。
だけど、それが嫌じゃなくて。
逆に心地いいんだ。