アキと私〜茜色の約束〜

「いつも明希の側にいてくれてありがとう…明希を、明希を忘れないでいてくれてありがとうね」

「おばさん…」


髪を撫でながら、微笑む。
その涙で濡れた目は、感動屋だったアキに凄く似ていて…

涙が更に溢れてきた。


「今ね、秋人君が来てくれてるのよ」

「え?秋人が?」


突然出た“秋人”という名前に心臓が跳ね上がる。


今日はインターハイの開会式だったはず。
うちはシード枠に入っているため初日に試合はなくて、明日の第二試合がうちの初戦になる。

恐らく開会式が終わってここに寄ったんだろう。


あの日からずっと、考えないようにしても考えてしまう。

秋人が、まさか私をずっと好きでいてくれたなんて。

考える度に、胸が締め付けられる。
だけど、それが嫌じゃなくて。

逆に心地いいんだ。


< 97 / 212 >

この作品をシェア

pagetop