アキと私〜茜色の約束〜
「私、これから一度家に戻らないと行けないの」
おばさんは、「花瓶にヒビが入っちゃって」とお茶目に笑うと、エレベーターの前で足を止めてボタンを押した。
「久しぶりに幼馴染三人、水入らずでゆっくりしていって?明希も喜ぶわ」
すぐに来たエレベーターに乗り、そう言って手をひらひら振るおばさんを見送る。
幼馴染三人、か。
久しぶりだな。
三人で過ごしたのなんて、事故よりもっと前、中学の入学式以来かもしれない。
昔はずっと三人でいたのに、成長するごとにその時間は減っていった。
寂しいと思う反面、仕方ないことだとわかっていたけれど。
アキや秋人の隣りに私じゃない誰かがいると、嫉妬で目を背けたくなったこともあった。
そのうち秋人の様子に変化が現れて。
気が付くと、秋人から笑顔がなくなってたんだ。