teach



俺がいなかった数時間で、こんなに距離を詰めてるなんて予想外。



今は俺だけに甘え、抱きついてくれるなこ。



いつかこの場所をginjiさんに取られるんじゃ…。



そんな不安でいっぱいのうちに、打ち合わせは終わったらしい。



みんな帰る準備を始めている。



shikiさんはタバコでも吸いに行ったのか、すでに室内に姿はない。



荷物は車に置きっぱなしだから、特にすることもなく、膝の上のなこと戯れながら社長達の準備ができるのを待つ。



「ねぇ、ジュン。ふわふわの食べたいね」

「ふわふわ?」

「うん、とろーって黄色の」



あぁ、オムレツのことか。



最近のなこのお気に入り。



中に大量のチーズが入っただけのシンプルなオムレツ。



「じゃあ家帰ったらそれ作ろう」

「うん‼︎なこも作りたい…だめ?」



なこが料理に興味持ってる…?



でも、なこ料理ビックリするくらい苦手じゃん。



ケガでもしたら…。



「JUNくん。初めまして」



考え込む俺の方をトントンと叩き、話しかけるのは…。



「ginjiさん⁉︎…初めまして‼︎」

「nakoちゃんを甘やかすだけじゃダメだよ。守るだけなら誰にでもできるんだから」



今俺が考えていたことがわかったような口調。



なんで赤の他人にそんなこと…。



「それだけ。じゃ、また今度ね、nakoちゃん」



それだけ言うと、sakuさんや鹿島さんと一緒に出て行った。



なんだったんだ…?



それにしてもやっぱりオーラが凄い。



女性人気No. 1なのも頷ける。



間近で見るginjiさんの破壊力、nakoだって好きになるかも…。



「ほら、淳行くぞ」

「あ、うん」



考え込んでもしょうがない。



とりあえず帰ったら、なこと一緒にオムレツを作ろう。




< 112 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop